ドイツ映画

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欲望の旅

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アット エンタテインメント 2010-03-03
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ラズベリー・ライヒ

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素粒子

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ELEMENTARTEILCHEN
2006年/ドイツ/113分
監督・脚本:オスカー・レーラー
原作:ミシェル・ウェルベック
出演:モーリッツ・ブライプトロイ、フランカ・ポテンテ、マルティナ・ゲデック、クリスティアン・ウルメン、ニーナ・ホス、ほか
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いろんなアクチュアリティのあるモチーフが詰まった現代的な文芸映画。現代的な問題を扱う映画がよくそうであるように、基本的には安易な回答を導きだせないせいか「病的」で「救いのない感」が作品のそこかしこに漂う。

映画の印象としては、個人的に辱めを受けることなく最後まで見続けられましたが「原作がいい映画」「ドイツの勢いのある俳優が出演している映画」という印象は拭えない。気になったのは全編に共通する「カット割りの多さ」。編集でフラッシュバックを多様しているのでプロデューサーなどからわかりやすくするようなプレッシャーがかかったことは想像できるが、アップの切り返しで心理描写を表現するやり方や、ピン送りで「生死をかけた電話」を表現するのは正直勘弁してほしい。比較的難解な原作を取り上げる際に、その難解さが台詞によるようなものは「映画」としてはいかがなものなのだろうか。監督にはフラッシュバックだけではない、映像の演出を工夫してほしかった。

ただ、俳優と原作に関してはいろいろ楽しめた。どこかで見た顔と思えば、なんと15年程前に渋谷で看た「ラン・ローラ・ラン」の主役の二人が出演しているではありませんか。当時20歳くらいだった彼彼女は35歳くらいになっており、ちょうど今の自分に近しい年齢となった彼らの変化に、自分の変化を重ねてみたりして楽しめた。初めて感じた「初めて観たのに初めてじゃない感情」に似たもの(初めてではなかったのですが)を感じられたのはよかった。

それと原作。本来は映画を観たあとに原作を読みたくなる映画は「映画として良い出来」となりますが、この作品はこの原則にあてはまらなかったところが興味深かった。なんというか「俳優の台詞に頼っている部分やわかりやすく加工されてしまったカットの元となった原作を読んでみたい」という新しい気持ちを作れたところは面白かった。

でも、ひょっとするとこの変な平易さは昨今のドイツの現状・空気を的確に表したものかもしれないのでこの点は保留ではあるのですが・・・。

「素粒子」公式サイト
http://www.espace-sarou.co.jp/soryushi/

クリムト

クリムト デラックス版クリムト デラックス版
KLIMT
2006年/オーストリア・フランス・ドイツ・イギリス/97分/R-15
監督:脚本:ラウル・ルイス
撮影:リカルド・アロノヴィッチ
音楽:ホルヘ・アリアガータ
出演:ジョン・マルコヴィッチ、ヴェロニカ・フェレ、サフロン・バロウズ、スティーヴン・ディレイン、ニコライ・キンスキー、サンドラ・チェッカレッリ、ポール・ヒルトン、エルンスト・ストッツナー、アグライア・シスコヴィッチ、他
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ハッキリとした展開が好きな人は退屈かもしれないが、コンセプト的には、すき放題幻想的な映像を連ねられる設定は美しく感じた。

それと主演の「マルコヴィッチの穴」などのジョン・マルコヴィッチの佇まいから、目つき、所作、声、話し方などどれをとっても魅力的で、そんな彼の実力がいつまでも観れる映画。

夢遊的な回想シーンが続くので、脈絡の展開が無いところは弱点かもしれないし、マルコヴィッチ氏の魅力は出ていても、それがクリムトのそれではないようにも観れてしまうところは、問題なのかもしれない。

個人的にはちょうど「マルホランド・ドライブ」や「インランド・エンパイア」などのデビッド・リンチ監督作品のように、音楽を鑑賞するように映画を鑑賞できて気持ちいい。しかも登場する女性が布切れ一枚身に纏わないヌードモデルが多く、いわゆる濡れ場のような感じではなく、裸婦が映画に馴染んでいて、その点も観ていて気持ちがよい。

監督のラウル・ルイスはチリ人の監督のようで、他にはプルーストの「失われた時を求めて」の映画版の監督も務めている。

先に映画「エゴン・シーレ」を観ると、シーレ役のニコライ・キンスキー氏が軽く見えた。ちなみにこのニコライ・キンスキーの義姉は「パリ・テキサス」などのナスターシャ・キンスキー。父親は寺山修二の「上海異人娼館/チャイナ・ドール」にも出演しているクラウス・キンスキー氏。

「クリムト」公式サイト
hhttp://www.klimt-movie.com/

タイム・オブ・ザ・ウルフ

タイム・オブ・ザ・ウルフタイム・オブ・ザ・ウルフ
LE TEMPS DU LOUP
THE TIME OF THE WOLF
WOLFZEIT
2003年/フランス・ドイツ・オーストリア/109分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
製作:ファイト・ハイドゥシュカ、マルガレート・メネゴス
製作総指揮:ミヒャエル・カッツ
撮影:ユルゲン・ユルゲス、衣装:リジー・クリストル
出演:イザベル・ユペール、ベアトリス・ダル、パトリス・シェロー、ローナ・ハートナー、モーリス・ベニシュー、オリヴィエ・グルメ、ブリジット・ルアン、他
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昨今はニュース映像などで世界中の残忍な事件などの映像がすぐに見れるような時代ですが、遠目でその事件を眺めるのではなく、「実際にその事件の当事者になったら」という目線で製作されたある意味現代的な作品。

DVDの特典映像のインタビューを見るに監督自身もとりわけ「パニック映画」を撮りたかったわけではなかったようだ。

ただ「こんなことが、あなたの身に起こったらどうする?」という問いが自体がこの映画のテーマなので、それぞれのエピソードや登場人物に対し「感じ方は人それぞれ」というスタンスで作られているように思う。ハネケ作品のなかでは「ファニーゲーム」並にキャッチの効いた映画だったようにも思う。

家畜を殺すシーンや少女の死体(ヌード)など、小道具、というか細部までリアルに再現されていたところがお金はなくても「大人の仕事」を感じさせる。

意外にもイザベル・ユペール、ベアトリス・ダルといったビッグネームの女優が出演しているが、そんな華のある映画でなかったところが特徴だろうか。

また、DVDのインタビューによると、この「タイム・オブ・ザ・ウルフ」「ピアニスト」の前に企画されていた作品のようだが、ユペールとハネケが独自ルートで資金集めを試みるも失敗し、半ば頓挫していたよう。「ピアニスト」のカンヌ受賞などの成功をきっかけに資金集めに成功し、撮影にこぎつけることができた作品のよう。

コード:アンノウン

コード:アンノウンコード・アンノウン
CODE UNKNOWN
CODE INCONNU: RECIT INCOMPLET DE DIVERS VOYAGES
2000年/フランス・ドイツ・ルーマニア/113分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
製作:マラン・カルミッツ、アラン・サルド
製作総指揮:イヴォン・クレン
撮影:ユルゲン・ユルゲス
出演:ジュリエット・ビノシュ、ティエリー・ヌーヴィック、ヨーゼフ・ビアビヒラー、アレクサンドル・ハミド、他
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この作品もなんというか、いつものハネケ作品と同様に、「説明を省いて問いかける系」の映画。「分かりにくい」なんて監督本人に言ったら「説明はしない云々かんぬん」長々と説明されそうな感じである。

「71フラグメンツ」もそうだったけれど、「観ていれば分かる映画」ではなく、ハネケ監督の挑発に乗っかることで初めて道筋が見えてくるような、観る側の能動性が求められる映画。

オープニングとエンディングの「手話」などのそれぞれのエピソードの断片それぞれが複雑に絡み合うことを求めたような映画ではないこと、そうではないところを魅せることに終始しているところは、今から7年も前の映画だが、魅せ方に斬新さを感じないわけにはいかない。

さらに、ハネケ監督の代表的な映像演出の手法として長回しがあるが、その編集では、カットの頭、あるいは、最後にその長回しで魅せるエピソードが含まれていることが多いことを発見。

「コード:アンノウン」公式サイト【英語】
http://www.atalantafilmes.pt/2001/codigo/index.htm

71フラグメンツ

71フラグメンツ71フラグメンツ
71 FRAGMENTE EINER CHRONOLOGIE DES ZUFALLS
71 FRAGMENTS OF A CHRONOLOGY OF CHANCE AMOK
1994年/オーストリア・ドイツ/95分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
製作:ファイト・ハイドゥシュカ
製作総指揮:ヴィリー・ゼクレア
撮影:クリスチャン・ベルジェ
プロダクションデザイン:クリストフ・カンター
出演:ガブリエル・コスミン・ウルデス、ルーカス・ミコ、オットー・グルーンマンドル、アンヌ・ベネント、ウド・ザメル、ブランコ・サマロフスキー、クラウディア・マルティーニ、ゲオルク・フリードリヒ、他
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なんというか「小細工なしの直球勝負」といったストイック感の強い作品。

ハネケ監督はDVDに収録さているインタビューでは「全体ではなく断片ひとつ一つの総和がひとつのドラマツルギーとなり、観客はおのおのの経験からそれぞれの断片からリアルな経験をつくりあげる」というようなことを言っている。

観ている時はセルビア?の政治難民の物語かと思ったが、その少年のエピソードも中心的な断片のなかの一つであったことに気づかされる。

彼の映画に「希望」や「明るさ」があまり感じられないのは、ハネケ監督の言葉によると、「それを表現した瞬間に凡庸なもの(イメージ)になりさがる」からであるようだ。「観客に別の世界(希望がもてる世界=良い世界)を喚起させるためには、それ自身を描かないこと」が必要となるようだ。

美学者のアドルノは「芸術は説明なしに真実のみを表現する」というようなことを言っているようだが、これを「啓蒙的な映画」と考えると、説明を聞いて理解した事象ではなく、確かに自分で観たもの、自分で体験したものを拠になりながら、人の生活は行われているようにも思う、などと考えてみたり・・・。

カフカの「城」

カフカの「城」 カフカの「城」
DAS SCHLOB
THE CASTLE
1997年/オーストリア・ドイツ/125分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
原作:フランツ・カフカ「城」
撮影:イジー・スチブル
出演:ウルリッヒ・ミューエ、スザンヌ・ロタール、フランク・ギーリング、フェリックス・アイトナー、ニコラウス・パリラ、他
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意外にも日本未公開だったミヒャエル・ハネケ監督のドイツ語映画『カフカの「城」』「隠された記憶」のように「また、何かしてくれる」と期待して鑑賞。

結果的には思ったより地味な仕上がりだった感はあるが、たしか大学1年くらいの時に途中までは読んだはずの原作の持つ「見えない権力」のようなものの表現の仕方が絶妙で、斬新さというよりはカフカの小説を限られたコストで映画化する見本、のような印象が強い。

ちなみにハネケ監督の今のところの最新作「隠された記憶」はハリウッド資本でハネケ監督が続投して撮影が決まっている模様。

この『カフカの「城」』は勇気ある配給会社が日本にはないためにロードショーされることはなかったが、もし今後ハリウッドで注目されたりするやいなや日本の配給会社は飛びつくんだろうな、などと想像すると、配給会社が買ってくれるような映画を撮らなければ映画監督業で生きていけない現実なんかも思い出したりして軽くブルーになってしまいそうに・・・なんてことを考えさせられる映画。

ともあれ、ハネケ監督作品の特長は、ある意味デビット・リンチ監督などと同様に「人間の持つ闇」を映像化する天才であることは間違いないことを再確認。

エゴン・シーレ~愛欲と陶酔の日々~

エゴン・シーレ~愛欲と陶酔の日々~エゴン・シーレ~愛欲と陶酔の日々~
Egon Schiele
1980年/オーストリア・西ドイツ・フランス/94分
監督・脚本:ヘルベルト・フェーゼリー 
撮影:ルドルフ・ブラハセク、音楽:ブライアン・イーノ
出演:マチュー・カリエール、ジェーン・バーキン、クリスティーネ・カウフマン、他
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ドイツ語を話すジェーン・バーキンで出演していることと、音楽をあのブライアン・イーノが担当しているとのことで鑑賞。

エゴン・シーレはクリムトの弟子だったことすら知らないほど、美術史はおさえていなかったがそういう意味では1910年代のオーストリアの状況なども含めて、ひとまず勉強になった1本。

のっけから少女のヌードのカットがあるものの、作品のプロット内に回収されているため「エゴン・シーレ~愛欲と陶酔の日々~」という日本語のキャッチが与えるような淫靡な印象はない。画家である人間エゴン・シーレの生活を忠実に再現しようとしているように感じられた。

監督のヘルベルト・フェーゼリーは過去には前衛的な映画を作っていたようだ。エゴン・シーレ自身は前衛的な芸術家だったと思うが、この「エゴン・シーレ」の映画の作りはすこぶる近代的で少々面食らってしまった。なんでもないような事柄を観ていて解かる部分を伴なったような前衛的な作品はカッコイイと思うのだが。

またこの映画の出演者にはジェーン・バーキンをはじめピンポイントで興味を惹かれる人々が出演している。

観ようにもなかなかDVDを見つけられないない「マリーナ」に主演のナイーブさがプロテニスプレーヤーのティム・ヘンマンを思い出されるマチュー・カリエール。「バグダッド・カフェ」にも出演しているというクリスティーネ・カウフマン。「バグダッド・カフェ」はホリー・コールの音楽と太っちょおばさんの切なさの記憶しか残っていないのでもう一度観返さねば。

隠された記憶

隠された記憶隠された記憶
Cache / Hidden
2005年/フランス・オーストリア・ドイツ・イタリア/119分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
製作総指揮:マルガレート・メネゴス、ミヒャエル・カッツ
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、モーリス・ベニシュー、アニー・ジラルド、ベルナール・ル・コク、ワリッド・アフキ、レスター・マクドンスキ、ダニエル・デュヴァル、ナタリー・リシャール、ドゥニ・ポダリデス、他
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「ピアニスト」「ファニーゲーム」などの、人間のなんともいえないところにメスを入れる印象のあるオーストリア生まれのドイツ育ちのミヒャエル・ハネケ監督の最新作。日本の公開はフランス映画祭やユーロスペースなどで行われた模様。

ハネケ監督作品はひょんなことから鑑賞した「ファニーゲーム」が印象的で、人間の生活の中で「よりによってどうしてそこを」というような場所、感情をシンプルかつ冷静に描く魅力がある作品。デビット・リンチ監督の描く決して晴れることのない悪夢などを思い起こさせる。

この「隠された記憶」はそんな期待をして観た割りには珍しくその期待を遥かに凌ぐ出来ですっかり興奮してしまった。「人間ドラマ」というより「サスペンス」というジャンルにおさまってしまうところが若干物足りなさを感じるものの、とりあえず2007年に観た映画ではナンバーワンになる予感が高い。

まず、お金やアクションや台詞、プロットに頼らずにまとまった時間の映像を魅せる技術に感服。

具体的には観ればわかることだが、撮りたい物を撮りたいように撮るというよりも、人が画面を見続けるために不可欠なことを理解した上で映像は積み上げられている。

配給がつくような映画はどんな映画もそこそこ大人が考えて作ってはいるが、演出以前の「見ること」についての考察が抜本的だ。

「ピアニスト」のときはあまり感じなかったが「解かりたいけれど、あと少しで解かりそう」といった感情を120分持続できた映画は自分の経験では0.1%くらい、本数で言うと1000本に1本しか観ることができない傑作。

ミヒャエル・ハネケ「隠された記憶」公式サイト
http://www.kioku-jp.com/

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セックス調査団

セックス調査団セックス調査団
Investigating Sex
2001年/ドイツ・アメリカ/105分
監督・脚本:アラン・ルドルフ
原作:アンドレ・ブルトン
脚本:マイケル・ヘンリー・ウィルソン
撮影:フロリアン・バルハウス、音楽:ウルフ・スコスベルグ
出演:ダーモット・マローニー、ネーヴ・キャンベル、ニック・ノルティ、ジュリー・デルピー、ジェレミー・デイビス、他
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この映画「セックス調査団」はその題名の為か、ビデオショップでは「エロティックコーナー」に置いておりますが、映像的にはあまり直接的に卑猥な表現のカットはない。

原作は「ナジャ」「シュールレアリズム宣言」などのアンドレ・ブルトンの「性に関する探究」ですが、映画自体がシュールレアリズムな感じなのではなく、近代的な手法でシュルレアリストのディスカッションを映像化した映画。

とはいえ「セックスの探求」について1920~30年代の設定で白熱した議論がされる為、映像的というよりは言葉的には卑猥な表現が多いかもしれない。

ただ、設定が当時のインテリたちの議論、となっている為、セックスも性交(セクシャルインターコース)というような表現になっている。要は「お上品な猥談」になっており、そういう素朴さ、というかひたむきさがお好きな人にとっては他にかえられない作品。第一次大戦直後のフランスの性の倫理観もうかがい知れて面白い。

さらに目を惹いたのは登場している役者陣。

主人公は初見でしたが、ソダーバーグ版の「ソラリス」でいい味を出していたジェレミー・デイビスや、レオス・カラックス監督の「汚れた血」、クシシュトフ・キェシロフスキ監督のトリコロール「白の愛」、ミカ・カウリスマキ監督の「GO!GO! LA」など、僕の好きな小規模映画に数多く出演しているジュリー・デルピーなどが出演していたのには驚いた。

単にピンク的な映画を作る目的でキャスティングされているわけではなく、文芸作品?としての志を感じてしまう。

ただこの映画は2001年の製作のようだが、1930年代くらいの舞台設定とのことで、多少アナクロ的に作ってはいるものの、観ているとどうも1970年代に製作された映画を観ているよう。

監督のアラン・ルドルフは80年代にはジョン・ローン主演の鬼作「モダーンズ」も監督している。

ちなみにこの映画はドイツとアメリカが製作のようですが、劇中の使用言語は英語。個人的にはアンドレ・ブルトン原作ものならば、コテコテのフランス語のものも観たいものです。


「セックス調査団」公式サイト
http://www.albatros-film.com/movie/sex/

クリシーの静かな日々

クリシーの静かな日々〈ヘア無修正版〉クリシーの静かな日々〈ヘア無修正版〉
Quiet Days in Clichy / Giorni felici a Clichy
Les Jours heureux de Clichy
1990年/フランス・イタリア・西ドイツ/104分
監督・脚本:クロード・シャブロル
原作:ヘンリー・ミラー
撮影:ジャン・ラビエ
出演:アンドリュー・マッカーシー、ナイジェル・ヘイヴァース、ステファニー・コッタ、 バルバラ・デ・ロッシ、マリオ・アドルフ、他
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「いとこ同志」などのヌーヴェルヴァーグのクロード・シャブロル監督作品未見の新作! しかも、原作は「北回帰線」「南回帰線」などのヘンリー・ミラー。がっつりと喰いついて観ることに。

「ハリウッドのキャストとフランス人監督の異色の組み合わせ」などと謳われていましたが、どうなんだろう。プロットの組み立てに関しては成功しているとは言いにくいように思う。雑多なカットが多く解かりにくい気がする。

しかし、饗宴が繰り返されるセットはかなり作り込んであって、大写しにならない、エキストラ的な人々もちゃんと全裸になっており、特にロングショットは圧巻の一言。

フラッシュバック的に語り口による時間の操作も行われているが、なんか浮いてしまっている感じもした。

この映画にエロスを期待しすぎてしまった感はあるが、1920年代のパリの「こんな感じであっただろう」様子が動画で観れたのはよかった。

 

SWEET SIXTEEN

SWEET SIXTEENSWEET SIXTEEN
2002年/イギリス・ドイツ・スペイン/106分
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ
撮影:バリー・アクロイド
出演:マーティン・コムストン、ミッシェル・クルター、アンマリー・フルトン、ウィリアム・ルアン、ゲイリー・マコーマック、他
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ケン・ローチ監督の切なく胸しめつけられる恋愛モノではない青春映画。観ていて、北野武監督の「キッズ・リターン」を思い出したりした。

この映画「SWEET SIXTEEN」には「救い」はほとんどないが、一方で、安い救いなら無い方がましだとも思う。ないならないなりに見る側はカタルシスを感じることはできる。

不器用で男気のある青年が主人公でしたが、自分の理想に向って行動することは大切だが、努力すればいいわけではなく、報われるわけでもないことを実感。

知識はあまりないが、現在、タジキスタン共和国など、経済状況が悪い国では、若者が手っ取り早くお金を得る手段としてコカインなどの麻薬密売があとを絶たないようだが、「意識」だけでは解決できないだけに難しい問題ように思う。

ケン・ローチ監督はある個人を描いており、それは個人から多へ広がるというよりは、個人を通して階級などの社会を描いているので「社会派」と呼ばれるような作品を撮っているのだろう、と思うが、それは同時に、物語として個人があまり反映されなくなるわけで、そこには物足りなさを感じてしまうことも再確認。

やさしくキスをして

やさしくキスをしてやさしくキスをして
Ae Fond Kiss
2004年/イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
撮影:バリー・アクロイド
出演:アッタ・ヤクブ、エヴァ・バーシッスル、アーマッド・リアス、シャムシャド・アクタール、シャバナ・バクーシ
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意外にも名前だけしか知らなかったケン・ローチ。それこそ「テス」と「ケス」の区別がつかず、ラッセル? 観たような観てないような、ポランスキー監督じゃなかったっけ? といった感じだった。

「やさしくキスをして」は、「ケン・ローチ初の恋愛映画」のようなふれ込みだったようですが、例えば、フランスのジャン=ジャック・ベネックス監督やレオス・カラックス監督などの恋愛映画と比べると、「恋愛映画」というよりは、「人種をまたがった恋愛の難しさを描いた社会派映画」だったように思う。恋愛映画にしては恋愛を感情にうったえかけようという作り手の意図が薄かったように思う。

そこで、よくよくフィルモグラフィーを見てみると、ケン・ローチ監督はすこぶる「社会派」な監督さんなようで、この「やさしくキスをして」は、氏の作品群のなかではセックスシーンが多い恋愛映画、ということになるのかもしれない。

性描写については、フェラチオを描くことなくクンニリングスをしっかり描いていると、それはそれで意味、意図があるんだろうと思ってしまう。

つい、多民族国家、というと安直に「アメリカ!」と思ってしまうのですが、イギリスもいろいろ問題が絶えないだろうな、とつくづく思う。

トーンというかテンション? はアメリカ映画よりもイギリス映画の方が、素の日本人のリズムに合っているような気もする。

青い夢の女

青い夢の女青い夢の女
Mortel Transfert
2000年/フランス・ドイツ/122分
監督・製作・脚本:ジャン=ジャック・ベネックス
原作:シヤン=ピエール・ガッテーニョ
撮影:ブノワ・ドゥローム
出演:ジャン=ユーグ・アングラード、エレーヌ・ド・フジュロール、他
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数年前になりますが「青い夢の女」の日本公開にあわせて監督のジャン・ジャック・ベネックスが来日し、東京大学のフランス文学研究科主宰の講演会のようなものに参加した記憶があります。

ベネックスの作品は「ベティーブルー」が印象的ですが「ディーバ」や「ロザリンとライオン」など自分好みの作品を作ってくれる世界の中でも数少ない映画監督の一人です。

それまで監督本人はスチールでしか観たことはなかったのですが、とても「女好き」な印象が強く、良くも悪くも期待を裏切られた感がありました。いったん話し始めると、話しが長そうな人です。

さてこの「青い夢の女」ですが、今回もまたとても僕好みでした。とにかく画がすばらしい。きれいな構図を集めた映画は他にもたくさんあるのですが、なんというか、映画への愛や画のもつ深み、のようなものを再現する画はめずらしい。ハリウッドなどと比べるとお金はかかっていませんが、知恵や工夫が見られるところも好印象。

今作は新たに「ユーモア」に取り組んでいたように思われますが、そこに深みは感じられません。「ディーバ」や「ロザリンとライオン」などを思い返しても、ベネックスはナイーブな心象をさらりと的確に描くことが特長かな。

自分的にはレオス・カラックスと足して2で割ったらどんな作品になるのだろう、などど考えてしまいます。

グッバイ、レーニン!

グッバイ、レーニン!グッバイ、レーニン!
Good Bye Lenin!
2003年/ドイツ/121分
監督・脚本:ヴォルフガング・ベッカー
撮影:マルティン・ククラ
出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・サーズ、チュルパン・ハマートヴァ、マリア・シモン、他
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東西ドイツ壁崩壊前後の時代を描いたライトなタッチの社会派ドラマ。悲劇を喜劇として描いているためか、鑑賞後、特有の「切なさ」がこみ上げてくる。

キャラクターの設定も「こんな人が実際にいたかもしれない」と感じさせる点でちょうどティム・バートンの「ビッグ・フィッシュ」のようなさじ加減のリアリティーがある。

あらかじめ「東西ドイツの問題」や「社会主義」などの対する問題を真摯に受け止めていると、エンタテイメント的な部分が鼻につくかもしれないが、逆にこのこと、それほど現実離れしていないドラマ仕立てになっていることが、ドイツ本国や世界的に成功を収めた要因だったと思う。

10年程前から「ラン・ローラ・ラン」など世界的な成功を収める新しいドイツ映画(ヴェンダース以来?)が出てきているように思うが、アート的であったり、単なるスマッシュヒットに留まらない、内容的、興行的にバランスがとれ、英語圏での上映も加味しながら製作されたドイツのインディペンデント映画といった感じ。

日本でもこれくらいのバランスの映画を数多く製作できたらと思うのは私だけだろうか。

ディープ・ブルー

ディープ・ブルー スペシャル・エディションディープ・ブルー スペシャル・エディション
Deep Blue
2003年/イギリス・ドイツ/91分
アラステア・フォザーギル、アンディ・バイヤット
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六本木ヒルズ、ヴァージンシネマズで初めて鑑賞。 事前情報なしで飛び込みで観たのですが、こんなに「教育的」な映画だとは思わなかった。「海」の生態についてなどこの映画でしか観れない画が多く、しかも、恐らくCGは使用していないように思う。イギリスBBC放送製作だし。

モノローグがとても多かったのが印象的。「スクリーンには砂浜、そこには現場の環境音が…」という感じで観ていてそこにいるような、旅行気分に浸れるようなものを想像していただけに、説教、というか「自然愛護」のようなことを声高にメッセージとして訴えて教訓めいていた。

逆に分かりやすいかたちでそいういうメッセージがないほうが「海の自然」をダイレクトに感じることができるような気もしてしまうのですが。。

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「映画喫茶」は自主映画監督、酒井啓が鑑賞した映画や小説などについて綴ったデータベースです。プロフィールなどの詳細は下記公式サイトへどうぞ。

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