オーストリア映画

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クリムト

クリムト デラックス版クリムト デラックス版
KLIMT
2006年/オーストリア・フランス・ドイツ・イギリス/97分/R-15
監督:脚本:ラウル・ルイス
撮影:リカルド・アロノヴィッチ
音楽:ホルヘ・アリアガータ
出演:ジョン・マルコヴィッチ、ヴェロニカ・フェレ、サフロン・バロウズ、スティーヴン・ディレイン、ニコライ・キンスキー、サンドラ・チェッカレッリ、ポール・ヒルトン、エルンスト・ストッツナー、アグライア・シスコヴィッチ、他
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ハッキリとした展開が好きな人は退屈かもしれないが、コンセプト的には、すき放題幻想的な映像を連ねられる設定は美しく感じた。

それと主演の「マルコヴィッチの穴」などのジョン・マルコヴィッチの佇まいから、目つき、所作、声、話し方などどれをとっても魅力的で、そんな彼の実力がいつまでも観れる映画。

夢遊的な回想シーンが続くので、脈絡の展開が無いところは弱点かもしれないし、マルコヴィッチ氏の魅力は出ていても、それがクリムトのそれではないようにも観れてしまうところは、問題なのかもしれない。

個人的にはちょうど「マルホランド・ドライブ」や「インランド・エンパイア」などのデビッド・リンチ監督作品のように、音楽を鑑賞するように映画を鑑賞できて気持ちいい。しかも登場する女性が布切れ一枚身に纏わないヌードモデルが多く、いわゆる濡れ場のような感じではなく、裸婦が映画に馴染んでいて、その点も観ていて気持ちがよい。

監督のラウル・ルイスはチリ人の監督のようで、他にはプルーストの「失われた時を求めて」の映画版の監督も務めている。

先に映画「エゴン・シーレ」を観ると、シーレ役のニコライ・キンスキー氏が軽く見えた。ちなみにこのニコライ・キンスキーの義姉は「パリ・テキサス」などのナスターシャ・キンスキー。父親は寺山修二の「上海異人娼館/チャイナ・ドール」にも出演しているクラウス・キンスキー氏。

「クリムト」公式サイト
hhttp://www.klimt-movie.com/

セブンス・コンチネント

セブンス・コンチネントセブンス・コンチネント
DER SIEBENTE KONTINENT
THE SEVENTH CONTINENT
1989年/オーストリア/111分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
製作:ファイト・ハイドゥシュカ
撮影:トーニ・ペシュケ
出演:ビルギッド・ドール、ディーター・ベルナー、ウド・ザメル、ゲオルク・フリードリヒ、他
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実話を元に製作されたとされる記念すべきミヒャエル・ハネケ監督第一回監督作品。

「ファニーゲーム」ほど不条理ものではないが、悪いほう悪いほうへ進む様はむしろ圧巻。

銀行に貯金していたお金を小銭も含めて水洗便所に流す長回しなどは、登場した家族の社会的価値への徹底的な抵抗に見られ、見る者に「何をそこまで思い詰めて」と感じさせるストイックさだ。

具象の世界から砂嵐に至るまでの過程が描かれた稀有な映画。

こういう映画を観ていると「言葉攻め」プレイを思い起こさせる。
「本当にこれでいいのか? ・・・そうじゃないだろう。」
というようなハネケ監督の言葉が聞こえてきそうである。

映画などの作品には「直接言語的映像」を使い、登場人物の目線のカットをふんだんにもちいた「体験型映像(AVで言えばハメ撮り)」がある一方で、物語などのプロットを使いながら何かを指し示す「間接言語的映像」があることを想起させられる。簡単に言えば、善くも悪くも「説教されている」ような感じの映画でした。本当に。

ちなみに「第7の大陸=セブンス・コンチネント」は実際には存在しない、架空の大陸のこと。

タイム・オブ・ザ・ウルフ

タイム・オブ・ザ・ウルフタイム・オブ・ザ・ウルフ
LE TEMPS DU LOUP
THE TIME OF THE WOLF
WOLFZEIT
2003年/フランス・ドイツ・オーストリア/109分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
製作:ファイト・ハイドゥシュカ、マルガレート・メネゴス
製作総指揮:ミヒャエル・カッツ
撮影:ユルゲン・ユルゲス、衣装:リジー・クリストル
出演:イザベル・ユペール、ベアトリス・ダル、パトリス・シェロー、ローナ・ハートナー、モーリス・ベニシュー、オリヴィエ・グルメ、ブリジット・ルアン、他
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昨今はニュース映像などで世界中の残忍な事件などの映像がすぐに見れるような時代ですが、遠目でその事件を眺めるのではなく、「実際にその事件の当事者になったら」という目線で製作されたある意味現代的な作品。

DVDの特典映像のインタビューを見るに監督自身もとりわけ「パニック映画」を撮りたかったわけではなかったようだ。

ただ「こんなことが、あなたの身に起こったらどうする?」という問いが自体がこの映画のテーマなので、それぞれのエピソードや登場人物に対し「感じ方は人それぞれ」というスタンスで作られているように思う。ハネケ作品のなかでは「ファニーゲーム」並にキャッチの効いた映画だったようにも思う。

家畜を殺すシーンや少女の死体(ヌード)など、小道具、というか細部までリアルに再現されていたところがお金はなくても「大人の仕事」を感じさせる。

意外にもイザベル・ユペール、ベアトリス・ダルといったビッグネームの女優が出演しているが、そんな華のある映画でなかったところが特徴だろうか。

また、DVDのインタビューによると、この「タイム・オブ・ザ・ウルフ」「ピアニスト」の前に企画されていた作品のようだが、ユペールとハネケが独自ルートで資金集めを試みるも失敗し、半ば頓挫していたよう。「ピアニスト」のカンヌ受賞などの成功をきっかけに資金集めに成功し、撮影にこぎつけることができた作品のよう。

71フラグメンツ

71フラグメンツ71フラグメンツ
71 FRAGMENTE EINER CHRONOLOGIE DES ZUFALLS
71 FRAGMENTS OF A CHRONOLOGY OF CHANCE AMOK
1994年/オーストリア・ドイツ/95分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
製作:ファイト・ハイドゥシュカ
製作総指揮:ヴィリー・ゼクレア
撮影:クリスチャン・ベルジェ
プロダクションデザイン:クリストフ・カンター
出演:ガブリエル・コスミン・ウルデス、ルーカス・ミコ、オットー・グルーンマンドル、アンヌ・ベネント、ウド・ザメル、ブランコ・サマロフスキー、クラウディア・マルティーニ、ゲオルク・フリードリヒ、他
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なんというか「小細工なしの直球勝負」といったストイック感の強い作品。

ハネケ監督はDVDに収録さているインタビューでは「全体ではなく断片ひとつ一つの総和がひとつのドラマツルギーとなり、観客はおのおのの経験からそれぞれの断片からリアルな経験をつくりあげる」というようなことを言っている。

観ている時はセルビア?の政治難民の物語かと思ったが、その少年のエピソードも中心的な断片のなかの一つであったことに気づかされる。

彼の映画に「希望」や「明るさ」があまり感じられないのは、ハネケ監督の言葉によると、「それを表現した瞬間に凡庸なもの(イメージ)になりさがる」からであるようだ。「観客に別の世界(希望がもてる世界=良い世界)を喚起させるためには、それ自身を描かないこと」が必要となるようだ。

美学者のアドルノは「芸術は説明なしに真実のみを表現する」というようなことを言っているようだが、これを「啓蒙的な映画」と考えると、説明を聞いて理解した事象ではなく、確かに自分で観たもの、自分で体験したものを拠になりながら、人の生活は行われているようにも思う、などと考えてみたり・・・。

ベニーズ・ビデオ

ベニーズ・ビデオ
BENNY'S VIDEO
1992年/オーストリア/105分
監督:ミヒャエル・ハネケ
製作:ファイト・ハイドゥシュカ、ベルナール・ラング
製作総指揮:ミヒャエル・カッツ、ゲブハルト・ツパン
脚本:ミヒャエル・ハネケ
撮影:クリスチャン・ベルジェ
プロダクションデザイン:クリストフ・カンター
出演:アルノ・フリッシュ、アンゲラ・ヴィンクラー、ウルリッヒ・ミューエ、他

この「ベニーズビデオ」は「隠された記憶」と同様に少年犯罪を扱ったミハエル・ハネケ監督作品。 両方観ると「ベニーズビデオ」を魅せる映画として洗練させたのが「隠された記憶」となった印象がある。

実話かどうかはわかりませんが、作中でもたびたび映されるような「ニュース」に高い関心をもっているハネケ監督が当時の関心事をぶつけた作品のよう。

オープニングの高速道路、洗車、のあたりの映像でなんというか「ドイツやロシアっぽい感じ」がした。フィルムの質感と黄色い文字がそんな効果を出しているのかもしれないが、例えば同時代の北野武監督の「ソナチネ」と比べても単に「その時代だから」ではないことが分かる。

子供が主人公となっていたので「子供は純真だ」といったヒューマニズムのようなオチになるかと一瞬心配したがハネケ監督は裏切らなかった。

特に後半で、青年が銀行強盗+自殺を図るシーンはとってつけたといえばそんな気もするが、観ている最中はこの映画の不確定性のようなものが感じられて楽しめた。

劇中のニュース映像で、少年がテレビに映っているシーンがあったが、このシーンは黒沢清監督の「ニンゲン合格」で主人公のお父さんが新興宗教の集まりで海外にいる時に、何かの事故に巻き込まれた時のニュース映像を思い出させた。ハネケ監督作品にもベタじゃなくて驚きに近いようなユーモアがあればもっとファンは増えるのではなどと思ってみたり。

カフカの「城」

カフカの「城」 カフカの「城」
DAS SCHLOB
THE CASTLE
1997年/オーストリア・ドイツ/125分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
原作:フランツ・カフカ「城」
撮影:イジー・スチブル
出演:ウルリッヒ・ミューエ、スザンヌ・ロタール、フランク・ギーリング、フェリックス・アイトナー、ニコラウス・パリラ、他
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意外にも日本未公開だったミヒャエル・ハネケ監督のドイツ語映画『カフカの「城」』「隠された記憶」のように「また、何かしてくれる」と期待して鑑賞。

結果的には思ったより地味な仕上がりだった感はあるが、たしか大学1年くらいの時に途中までは読んだはずの原作の持つ「見えない権力」のようなものの表現の仕方が絶妙で、斬新さというよりはカフカの小説を限られたコストで映画化する見本、のような印象が強い。

ちなみにハネケ監督の今のところの最新作「隠された記憶」はハリウッド資本でハネケ監督が続投して撮影が決まっている模様。

この『カフカの「城」』は勇気ある配給会社が日本にはないためにロードショーされることはなかったが、もし今後ハリウッドで注目されたりするやいなや日本の配給会社は飛びつくんだろうな、などと想像すると、配給会社が買ってくれるような映画を撮らなければ映画監督業で生きていけない現実なんかも思い出したりして軽くブルーになってしまいそうに・・・なんてことを考えさせられる映画。

ともあれ、ハネケ監督作品の特長は、ある意味デビット・リンチ監督などと同様に「人間の持つ闇」を映像化する天才であることは間違いないことを再確認。

カンヌ SHORT5

カンヌ SHORT5カンヌ SHORT5 Cannes Short5
FAST FILM 2003年/オーストリア・ルクセンブルグ/14分 
監督:ヴァージル・ウィドリッチ
Do you hava the shine? 2002年/スウェーデン・フランス/6分 
監督:ヨハン・ターフィル
field 2001年/イギリス/10分 監督:デュアン・ホプキンス
Play with me 2002年/オランダ/13分 監督:エッサー:ロッツ
Janne da Arc on the Night bus 2003年/ハンガリー/25分 
監督:コーネル・ムンドルッツォ
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カンヌ映画祭の短編部門で好評だった作品5本を集めたオムニパス映画。

作っていないのかもしれないが、日本にはオーストリアやルクセンブルグ、オランダ、ハンガリーなどからの映画はなかなか入ってこないので貴重な映像体験だった。特にハンガリー映画は何年か前にハンガリー映画祭で観た、タル・ベーラ監督の「ヴェルクマイスター・ハーモニー」や「サタン・タンゴ」以来になる。

地球広しといえど案外同じような国の人が同じような人のために作った映画しか観ていないのかもしれない、という無自覚な価値観の狭さを考えさせられる。こういうことは外国に行ったときに思うことなのかもしれないが、この短編集はそんな気持ちを想いおこさせる。

より多くの人が映画館に脚をはこんび、かつ、満足感を持って帰れるような作品を作ろうとすると、結果どの映画も似てくる。そんな当たり前のことを気づかせてくれる。

5作品とも尺、テーマともにバラエティーに富んでいるので比較はできないが、カンヌなので総じてエンタテイメントというよりブラックであったりユニークであることに主眼がおかれているように思う。

5本目のハンガリーの「Janne da Arc on the Night bus 」には特にやられてしまった。


「カンヌ SHORT5」公式サイト
http://www.uplink.co.jp/cannes_short5/

エゴン・シーレ~愛欲と陶酔の日々~

エゴン・シーレ~愛欲と陶酔の日々~エゴン・シーレ~愛欲と陶酔の日々~
Egon Schiele
1980年/オーストリア・西ドイツ・フランス/94分
監督・脚本:ヘルベルト・フェーゼリー 
撮影:ルドルフ・ブラハセク、音楽:ブライアン・イーノ
出演:マチュー・カリエール、ジェーン・バーキン、クリスティーネ・カウフマン、他
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ドイツ語を話すジェーン・バーキンで出演していることと、音楽をあのブライアン・イーノが担当しているとのことで鑑賞。

エゴン・シーレはクリムトの弟子だったことすら知らないほど、美術史はおさえていなかったがそういう意味では1910年代のオーストリアの状況なども含めて、ひとまず勉強になった1本。

のっけから少女のヌードのカットがあるものの、作品のプロット内に回収されているため「エゴン・シーレ~愛欲と陶酔の日々~」という日本語のキャッチが与えるような淫靡な印象はない。画家である人間エゴン・シーレの生活を忠実に再現しようとしているように感じられた。

監督のヘルベルト・フェーゼリーは過去には前衛的な映画を作っていたようだ。エゴン・シーレ自身は前衛的な芸術家だったと思うが、この「エゴン・シーレ」の映画の作りはすこぶる近代的で少々面食らってしまった。なんでもないような事柄を観ていて解かる部分を伴なったような前衛的な作品はカッコイイと思うのだが。

またこの映画の出演者にはジェーン・バーキンをはじめピンポイントで興味を惹かれる人々が出演している。

観ようにもなかなかDVDを見つけられないない「マリーナ」に主演のナイーブさがプロテニスプレーヤーのティム・ヘンマンを思い出されるマチュー・カリエール。「バグダッド・カフェ」にも出演しているというクリスティーネ・カウフマン。「バグダッド・カフェ」はホリー・コールの音楽と太っちょおばさんの切なさの記憶しか残っていないのでもう一度観返さねば。

隠された記憶

隠された記憶隠された記憶
Cache / Hidden
2005年/フランス・オーストリア・ドイツ・イタリア/119分
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
製作総指揮:マルガレート・メネゴス、ミヒャエル・カッツ
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、モーリス・ベニシュー、アニー・ジラルド、ベルナール・ル・コク、ワリッド・アフキ、レスター・マクドンスキ、ダニエル・デュヴァル、ナタリー・リシャール、ドゥニ・ポダリデス、他
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「ピアニスト」「ファニーゲーム」などの、人間のなんともいえないところにメスを入れる印象のあるオーストリア生まれのドイツ育ちのミヒャエル・ハネケ監督の最新作。日本の公開はフランス映画祭やユーロスペースなどで行われた模様。

ハネケ監督作品はひょんなことから鑑賞した「ファニーゲーム」が印象的で、人間の生活の中で「よりによってどうしてそこを」というような場所、感情をシンプルかつ冷静に描く魅力がある作品。デビット・リンチ監督の描く決して晴れることのない悪夢などを思い起こさせる。

この「隠された記憶」はそんな期待をして観た割りには珍しくその期待を遥かに凌ぐ出来ですっかり興奮してしまった。「人間ドラマ」というより「サスペンス」というジャンルにおさまってしまうところが若干物足りなさを感じるものの、とりあえず2007年に観た映画ではナンバーワンになる予感が高い。

まず、お金やアクションや台詞、プロットに頼らずにまとまった時間の映像を魅せる技術に感服。

具体的には観ればわかることだが、撮りたい物を撮りたいように撮るというよりも、人が画面を見続けるために不可欠なことを理解した上で映像は積み上げられている。

配給がつくような映画はどんな映画もそこそこ大人が考えて作ってはいるが、演出以前の「見ること」についての考察が抜本的だ。

「ピアニスト」のときはあまり感じなかったが「解かりたいけれど、あと少しで解かりそう」といった感情を120分持続できた映画は自分の経験では0.1%くらい、本数で言うと1000本に1本しか観ることができない傑作。

ミヒャエル・ハネケ「隠された記憶」公式サイト
http://www.kioku-jp.com/

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ピアニスト

ピアニストピアニスト
La Pianiste
2001年/フランス・オーストリア/132分/R-15
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
原作:エルフリーデ・イェリネク、撮影:クリスティアン・ベアガー
出演:イザベル・ユペール、ブノワ・マジメル、アニー・ジラルド、アンナ・シガレヴィッチ、スザンヌ・ロタール、他
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久々に観た難解な映画。好きか嫌いか問われれば、好きな映画。

映画自体は「恋愛映画」の体裁をとっているが、それだけにとどまらない格式の高さと緊張感を併せ持っているように感じさせる。それは、レオス・カラックス監督作品群のように「迸る情熱」といった感じではなく「大人の、闇の部分」を感じさせる映画。

原作者のエルフリーデ・イェリネク氏はノーベル文学賞やカンヌでの審査員特別グランプリなど芸術賞を総なめにしているが、自国、オーストリアでは批評家には受けがいいが、一般には受け入れられていない作家のよう。

ミヒャエル・ハネケ監督作品は、最近、2005年にカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した「隠された記憶」が公開されていたようだが「ファニーゲーム」の底知れぬブラック感が印象的な監督。

軽はずみで文句をつけにくい映画を撮っている。論理的、というか、一定の不可解感をかんじさせながらも、一貫した映像を積み上げている稀な監督。

当然個人差はあるが、自分にとっては「原作を読んでみたくなった」という意味で映画として成功していると思う。

でも、この作品原作はドイツ語のはずだし、監督もオーストリア人のはずなのに、何故イザベル・ユペール主演のフランス語映画になっているのだろう。

と調べてみるとヴェルナー・シュローター監督の「マリーナ」(1990年)という作品では、エルフリーデ・イェリネク氏は脚本で参加し、イザベル・ユペールが主演していた。イェリネク&ユペールコンビはここで誕生したのかもしれない。ちなみに「マリーナ」は「ママと娼婦」などのジャン・ユスターシュ監督に捧げられている。


■参考
「ノーベル文学賞イェリネク 挑発に満ちた難解さ 寺尾 格」
神奈川新聞(共同通信) 2004年10月15日

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「映画喫茶」は自主映画監督、酒井啓が鑑賞した映画や小説などについて綴ったデータベースです。プロフィールなどの詳細は下記公式サイトへどうぞ。

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