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GO! GO! L.A.

GO! GO! L.A. デラックス版GO! GO! L.A. デラックス版
L.A. Without a Map
1998年/イギリス・フランス・フィンランド・アメリカ/107分
監督・脚本:ミカ・カウリスマキ
原作・脚本:リチャード・レイナー
撮影:ミシェル・アマテュー
出演:デビッド・テナント、ヴィネッサ・ショウ、ヴィンセント・ギャロ、ジュリー・デルピー、ジョニー・デップ、他
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ついに観れました。たしか5年くらい前にユーロスペースなどでアキ・カウリスマキ特集などをやっていた時から、ミカ・カウリスマキの作品も観たいと思っていたのですが、何故か延び延びになってしまっていました。

イギリス、フィンランド、フランス、アメリカといった国々のスタッフ・キャストらによる国際色豊かな青春ラブコメディー。

チラシ(ジャケット)ではヴィンセント・ギャロとジェリー・デルピーが大写しになっていたのでもっと出演時間が長いのかと思っていましたが、ジョニー・デップ等含めたベテランが脇をかため、それ程国際的には知名度のない2人が主演でした。それぞれの役者はいい味を出していてうまく融合している感が強かった。

アキもそうかもしれませんが、おそらくミカは現場でも淡々と演出を付けていそうで、日本では黒沢清監督などもそうですが、変な気負い、のような空気ではなく、真剣なかつ穏やか雰囲気が画面から伝わってきて心地よい映画でした。

あまりこいうことはないはずなのですが、われしらず笑い声がもれてしまっていたようです。


■ミカ・カウリスマキ公式サイト
http://mikakaurismaki.com/

ハムレット・ゴーズ・ビジネス

ハムレット ゴーズ ビジネスハムレット ゴーズ ビジネス
Hamlet Goes Business
1987年/フィンランド/86分
監督・製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:ピルッカ・ペッカ・ペテリウス、カティ・オウティネン、他
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アキ・カウリスマキ監督作品ですが、他のカウリスマキ作品のような彼独自の演出手法は見られず。「正攻法の演出」といった感が強いように思う。むしろ「サスペンスもの」のせいか「初期ヒッチコック作品」などを彷彿とさせる。

脚本もよくできてるし撮りかたもいいと思うのだけど、今となっては見る前に勝手に期待してしまう「カウリスマキ的なもの」を観れないと「物足りなさ」に近いものを感じてしまいます。

そうとはいえ、ハリウッドでぱっとしなかったサスペンスを観るよりは明らかに面白い作りになっているのは「さすが」の一言。

マッチ工場の少女

マッチ工場の少女マッチ工場の少女
Tulttikkutehtaan tytto
(The Match Factory Girl)
1990年/フィンランド/70分
監督・製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:カティ・オウティネン、エリナ・サロ、エスコ・ニッカリ、他
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とても昔の映画かと思ったのですが、クレジットを見ると1990年ということで15年前、というか天安門事件など80年代の雰囲気が漂っている。でもその雰囲気は欧米や日本のそれとは大きく異なっており、時事的には80年代のはずだけれど絵ズラ(音楽を含む)は70年代? のようなちょっと変わった感じでした。

ひとことで言えば「ダサイ」というか「スタイリッシュではない」ということなんだけど、別にそういうものを目指しているものではないはずなのでいいのですが。

あとこの映画の題名の「少女」役らしいカティ・オウティネンがどう見ても少女には見えない。むしろ熟女。他に「この人が少女ではないだろう」「他に少女役がいるに違いない」といった気持ちを押さえられなかった。

そんな画の雰囲気もあいまってか、「とても暗い」、というか「やり場のない」感じで観ました。カティ・オウティネンがとても痛々しいのです。後でポスター、ビデオのパッケージ画像を見ると、「どうやらコメディ(ブラック?)」でもあったらしいことを発見。

他の多くのアキ・カウリスマキ作品のようにカティ・オウティネンが体現するカウリスマキ演出が全編にわたって炸裂していました。

ワンテイクが長いわけでもないのですが「簡単に」撮っているカメラワークもカウリスマキ作品的。

過去のない男

過去のない男過去のない男
Mies Vailla Menneisyytta
2002年/フィンランド・ドイツ・フランス/97分
監督・製作・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン、アンニッキ・タハティ、ユハニ・ニユミラ、他
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特に何が起こる、というわけでもないのについ心地よく観てしまうカウリスマキ作品ですが、カンヌのパルムドールを受賞したこの作品もそれまでの作品とかわらない作家性が現れていた。

カウリスマキの演出は脚本(テキスト)を厳格に再現するものと、大枠だけつくっておいて即興を交えて細部まで作り上げる手法の2つがあるようですがどっちにしても、画面に現れる役者は説明的な台詞を省き「多くを語らない」、北野武にも通ずるような、一見シラけた演出はわれわれだけに馴染みのあるものなのだろうか?

いずれにせよ、よけいなものがなく、必要なものだけが結果的に必然的にそこにある、というように気張ったりすることなく、そこにあるものを心地よく受け入れることができる。

シンプルでわかりやすいのだけど、明らかにしようとするとつかみどころのないところが魅力。

こういう地味な作品が評価されるのをみると分かりやすくなくても国籍を超えて普遍的に伝わる「何か」は確実に存在していることを再確認できてほっとします。

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