闇の子供たち

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闇の子供たち プレミアム・エディション [DVD]闇の子供たち プレミアム・エディション [DVD]
2008年/日本/138分/PG-12
監督・脚本:阪本順治
原作:梁石日
主題歌:桑田圭祐
出演:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩市、鈴木砂羽、ほか

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人身売買をテーマにした社会派映画。
この作品もたしか2008年の秋ころに池袋ロサで鑑賞。

この映画は「社会派」映画ではあるが、一見それを感じさせないところに工夫がある。

第一に、原作の梁石日さん。「血と骨」(監督:崔洋一)など他の映画化された作品もそうですが、「フィクションとノンフィクションの境」を追求しながら結果的にエンタテイメント性のある小説に仕上げる作風によるもの。彼は彼なりの真摯な考えをもって作品を発表していると思うが、生真面目で杓子定規なドキュメントと比べれば、作者自身の脚色が入った作品に仕上がっているととは否めない。このあたりに梁石日作品の魅力のひとつがあるように感じる。

第二に、ポスター等のビジュアル展開。まずもって、テレビドラマでよく見かけるこれだけの俳優陣(江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、等)の顔を見せられて「目を背けたくなるような痛々しい現実」を突きつけられ続けるとはだれも思わないだろう。簡単に言うと、本来は、所謂「タブー」もテレビなどで知られた顔の俳優が演じれば、流行=大多数という意味のバイアスでそれでなくなる。しかしこの作品は坂本監督の確かな演出によってその安易さを突き抜けている。

同時に残念なのは、見終わったあとに「この映画すごくいい映画だけど流行らないだろうな」と感じてしまったこと。なんというか、受け入れられにくいモチーフであっても、作品自体に想定を超えたパワーのようなものがあれば、このようなことは気にならないような気がするからである。ただこの作品の力は、監督をはじめとするスタッフや出演者の想いや熱意だけでは打破できないものであるように感じる。これは製作者の映画映像にたいする美意識の問題かもしれないし、制作費や照明の問題かもしれないし、その状態を作るための社会の景気なのかもしれないし、それこそ選挙やサッカーのように投票者やサポーターのような想定観客によるものなのかもしれない。いずれにしても気概のある一本。

「闇の子供たち」公式サイト
http://www.yami-kodomo.jp/







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