幸福

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幸福幸福
Le Bonheur
1964年/フランス/80分/R-18
監督・脚本:アニエス・ヴァルダ
撮影:ジャン・ラビエ、クロード・ボーソレイユ
出演:ジャン=クロード・ドルオ、クレール・ドルオ、マリー=フランス・ボワイエ、他
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アニエス・ヴァルタ監督作品は意外と初見だったのですが、結果的にいろいろと示唆に富んだ映画だった。

まず、シーンとシーンのつなぎのカットでパステル調のカラーが入るのはアニエス・ヴァルタ監督の夫である、ジャック・ドゥミ監督の「シェルブールの雨傘」を思い出させた。夫婦そろってそんなことをするなんて、きっといつかどこかで意気投合したに違いない。

この「幸福」は1965年のベネチア映画祭とルイドゥリックなどで受賞している作品だが、ストーリーは「妻子に恵まれた内装業を営む男が郵便局の受付嬢と浮気をして、その事実を妻に打ち明ける」といった、どうということのない話。

でも、そういえばそうではあるが、日本では案外「ありそうでない」感じの映画なのかもしれない。予算はそれほどかからないとは思うが、とりわけ「映画にしよう」とまでは思わないテーマの作品のような気がする。

でも、退屈だった瞬間はほとんどなく、素人の役者を多く起用し、スタジオ撮りをしない、ヌーヴェルヴァーグ=シネマ・ヴェリテ=ドキュメンタリー的フィクションは意外と自分の肌に合う。

ただ「自殺」についての言及があまりに淡白だったことは気にはなりますが、そこに焦点をあてると別の後味の映画になるので、監督の意向なのでしょう。

また、ほとんど全編をモーツアルトなどのクラシック音楽が流れていてあつかましい気も少しする。でも「幸福」という、ある意味敷居の高い、シンプルな題の映画の割には鑑賞後の満足度の高い作品だった。

アニエス・ヴァルタ監督は元写真家だけあってか、フレーミングや光、特に自然光に対する意識の高さも感じられる作品。







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