ヒロシマモナムール/二十四時間の情事

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ヒロシマモナムール/二十四時間の情事ヒロシマモナムール/二十四時間の情事
Hiroshima mon Amour
1959年/フランス・日本/91分
監督:アラン・レネ
原作・脚本:マルグリット・デュラス
撮影:サッシャ・ヴィエルニー、高橋通夫
出演:エマニュエル・リヴァ、岡田英次、ベルナール・フレッソン、アナトール・ドーマン、他
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「夜と霧」「去年マリエンバートで」の間に作られたセーヌ左岸派と呼ばれるアラン・レネ監督作品。

初見は10年程前でしたが、今回見返してみると改めてアラン・レネ監督の野心を感じないわけにはいかない。同じフランスの監督ならば「死刑台のエレベーター」「鬼火」などのルイ・マル監督も「ブラック・ムーン」という寓話的な実験映画を撮っているが、レネ監督は「時間と記憶」というある種哲学的なテーマで3本の映画を監督しておりその執着心というか切り口は、寓話=ファンタジーものと比べるとパンチが効いていてかつ斬新。

脚本は「ラマン」などのマルグリット・デュラス氏だが、DVDのプロダクションノートによると、レネ監督が当時新進気鋭の小説家に脚本の執筆を依頼した模様。その後、この作品をきっかけにデュラス氏は映画の世界に足を踏み入れた。

ヒロシマという場所から戦争の記憶、そして異人との情事へと連鎖していく様はシンプルな映像で簡潔に語られており、文字情報だけでは伝わりにくい部分を継続した時間を伴なってこそ現れる効果が独特で興味深い、ある意味とても映画的な映画=純映画。

台本を読んで画が浮かび、実際の人間が演じることによるリアリティーを魅せようとする映像の退屈さを思い出すと、この「ヒロシマモナムール/二十四時間の情事」の完成度の高さは驚愕に値する。純粋な意味での映画の価値は予算ではないこと痛感させられる小さな大作。







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