ミルク

トップページ > アメリカ映画 > ミルク

ミルク [DVD]ミルク [DVD]
MILK
2008年/アメリカ/118分
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、ジョシュ・ブローリン、ジェームズ・フランコ、ディエゴ・ルナ、ほか
Amazonで詳しく見る

ガス・ヴァン・サント監督のゲイの公民権活動家・ハーヴィー・ミルクの生涯を綴った伝記映画。この作品は九段会館での試写会で鑑賞。九段会館は映画というより舞台やクラシックなどのコンサートの方が適した会館(3階席からはスクリーン自体が見づらい)ですが、当日は席を確保するだけでいっぱいいっぱい。結局3階席の尻が痛く、隣りの人と接するような近さ(パイプ椅子より近い)で鑑賞することに。

結果からいうと「泣いた」。
映画で泣いたのは90年代に諏訪敦彦監督の「MOTHER」を観て以来10年ぶりくらいになる。

もともとこの映画や「ハーヴィー・ミルク」個人に対する意見というか、存在すら知らない状態で鑑賞できたところが大きかったように思う。映画や映画のチラシは好きですが「事前の知識」は、基本的に邪魔と考える。あれこれ調べるのは観終えたあとのほうが作品をダイレクトに感じやすいのではないだろうか。そこそこ食いつかないと映画を観に行く行為は難しいですが、なるべく少ない情報で観た方が純粋な気持ちで観れてよいように思う。知識は調味料のようなもので、うまく使えればよいですが、基本的に素材を生かして食べたい、といういうところだろうか。あるいは全く逆に、当事者や関係者として事前に撮影現場の雰囲気などを感じていると、現場と作品を観比べることができて面白いかもしれない。

「ミルク」で泣けてしまったのは、ショーン・ペンの熱演によるところが大きいと思うが、その演技とガス・ヴァン・サント監督のドキュメンタリータッチの演出が痛々しいほどリアルに感じてしまい、つい目頭が熱くなり。。たいてい「熱演」を観ると「まじめに働いている」というような印象をもつことが多いですが、作風=演出がドキュメンタリータッチになていると、すっと映画に中に入れてしまう。

私はゲイではありませんが、ジェンダー的な男社会には心底うんざりしているので、むしろ。ゲイの方々のような社会的マイノリティーが、いくつもの困難にぶちあたりながら、自らの社会的地位を獲得していく様に、うっかり自らを投影していたのかもしれない。社会派であれ個人的なものであれ、やはり「価値の転覆(・・・になること)こそが自由であること」を改めて実感。

milk.jpg (C) 2008 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED






プロフィール

「映画喫茶」は自主映画監督、酒井啓が鑑賞した映画や小説などについて綴ったデータベースです。プロフィールなどの詳細は下記公式サイトへどうぞ。

○ 公式サイト
http://sakaiakira.net/
○ 公式サイト(English)
http://en.sakaiakira.net/

PR



Copyright 2005-2011 sakaiakira.net All Rights Reserved.