惜春

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惜春惜春
花村 萬月

講談社

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ふと、お茶の水の丸善をふらふらしていたら、新しい花村作品の文庫を発見。即購入。

読み終えて、まず、素直に「雄琴」とググってみると出るわ出るわソープ情報。

吉原がそういうところだということは知っていたのですが、雄琴は知りませんでした。巣鴨生まれの私は、巣鴨が「ピンサロの発祥の地」であることはどこからか聞いていたのですが、滋賀県にそんなところがあったとは…全く知らなかった自分にびっくり。

さて、内容です。いつもの花村作品のように、じんわりと切なくなる感じ、はありましたが、この作品は対個人のそれ、というよりむしろ、主人公の佐山豊の取り巻く人々のそれ、の感が強いと思う。

主人公の設定が「苦悩する童貞青年」なのでそうなったのかもしれませんが、人と人の、男と女の、関わり、交わり、という点では、良くも悪くもさらりとしているように思う。

この作品はいやらしくて、えげつないけれど、若気かもしれないけれど、救いがないわけでもないけれど、読んでいると、長く生きること=醜いこと、のような単純な図式が頭をよぎる。美しいのは必死で何かに向かっている時だけなのかなと思う。というか、その最中には美にも醜にも気づいていないだけなのかもしれませんが。







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