空港にて

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空港にて空港にて
村上 龍

文藝春秋
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久々の村上龍作品でしたが、言われてみると読んだのはどれも長編ばかりで、今回のような短編集は初めてのような気がする。

どの作品も「映像」が頭に思い描きやすい表現になっており、これは後書きを読むと龍氏の近代日本文学に対する彼の考え方が現れているように思う。

基本的に映画もそうだけど「心にのこる短編」というのはほとんどないんだけど、この本の最後に収録されている、表題にもなっている「空港にて」はなかなかよかったです。

あまり関係ないのですが、龍氏の作品に限ったことではないのですが、文学の善悪って何なんだろう、ということをたまに考える。

映画などもそうだた思うのですが、最終的にはその作品に触れた末端の読者や観客にとって「善い」作品ならばその数に応じて善い、ということになるとは思うのだけど、そこのスタートラインを左右しかねない批評家や学者、出版社などがある程度の価値付け、を新人賞や他の文学賞などで決めるけれども、なんだか「馬鹿みたい」というかシラケた気分になってしまうことがある。

売れた方がその作品に関わる人々の生活を含めて「幸せ」になる確率は高いと思うのですが、そういうわかりやすい作品はとても「媚び」が現れているように思い、あざとさを感じてしまうことが大半だ。

かといって、ナルシスティックに「我が道」を行かれてしまっても「そんなことは一人で個人的にやってくれ」と思うことも往々にしてある。

権力のある者が「善い」といってもその感性に迎合するのが手間に感じてしまう時などはなおさらそんなことを思ってしまう。

スタイル?スタンス?なかなか難しいね。







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