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嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生
2006年/日本/130分
監督・脚本:中島哲也、原作:山田宗樹、撮影:阿藤正一
出演:中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之、市川実日子、黒沢あすか、柄本明、木村カエラ、蒼井そら、柴咲コウ、片平なぎさ、本田博太郎、奥ノ矢佳奈、ゴリ(ガレッジセール)、榊英雄、マギー、竹山隆範(カンニング)、谷原章介、甲本雅裕、キムラ緑子、角野卓造、阿井莉沙、宮藤官九郎、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)、劇団ひとり、大久保佳代子(オアシス)、BONNIE PINK、濱田マリ、武田真治、木野花、荒川良々、渡辺哲、山本浩司、土屋アンナ、AI、山田花子、あき竹城、嶋田久作、木下ほうか、他
(C)2006「嫌われ松子の一生」製作委員会


久々に観る、豪華キャストの邦画でした。チラシにもあるように「これでもか」くらい話題の役者にとどまらない芸(能)人が出演していたのには少し驚き。

あと画面。細部にまでこだわった映像は良くも悪くもカット数が多く、現場の方々の苦労がひしひしと感じられます。

今回は、原作の小説は先に読んでいて、中島哲也監督がどんな風に映画化するのかを注目したのですが、彼は原作から痛々しいリアリティーを抜いて、ミュージカルの要素とユーモアをプラスしていた。

中島監督作品はたしか90年代の前半に、まだできたばかりの渋谷シネ・アミューズで「ビューティフル・サンデー」を観て、そのブラックユーモアと自主映画的な作風にCM界の巨匠らしくないセンスを感じてファンになったのですが、「嫌われ松子の一生」でもその片鱗は、ちょっとしたブラックな会話にやりとりや回想シーンでの8ミリ映像に現れているといえばそうだが、個人的には「人を描く」のを前提として映画を作って欲しかった。

結果として原作以上にエンタテイメント性の高い作品に仕上がっているが、映画にそれを求めていない自分としては「そんなサービスはいらない」といった感じ。ミュージカルものも嫌いだし。CGの星の数だけ、ディズニーランドなどが好きな若い女の子を映画観に呼ぶことができれば映画界に対する貢献は大きいと思う。

監督本人はどう思っているか分からないけれど、プロットに展開力のある本なら、「嫌われ松子・・・」じゃなくても同じようなテイストの作品ができあがっていたと感じてしまうところにこの映画の魅力の浅さがある。

あと、原作を読んだ人の多くが感じていると思うが、後半1/3が長くそれまでの勢いを殺している。編集権のある人はあの編集に疑問を抱かなかったのか不思議。

主演の中谷美紀さんは、周りの柴咲コウさんや濱田マリさんなどとの造形的な兼ね合い上でも中谷さんがベストなのかもしれませんが、別に主演を柴咲コウさんがやっても良かったように思う。ヌード込みの体当たりの演技が観れれば映画好きの人も文句は言いにくくなったと思う。作品の浅さは中谷さんと中島監督のコラボレーションの産物だと思う。

でも、テレビ番組から映画になった作品や、数年前の「世界の中心で愛を叫ぶ」に比べれば好感の持てる作品だと思う。この映画が大好きな人ゴメンナサイ。

オフィシャルサイトでは「自分の名前を入れて楽しめる『嫌われ松子の一生』オリジナル壁紙」を作ることができる。


■「嫌われ松子の一生」オフィシャルサイト

http://kiraware.goo.ne.jp/


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2006年07月15日 01:40
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