2005年12月

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緑の光線

緑の光線緑の光線
Le Rayon Vert
1986年/フランス/98分
監督・脚本:エリック・ロメール
原作:ジュール・ヴェルヌ
撮影:ソフィー・マンティニュー
出演:マリー・リビエール、リサ・エレディア、ヴァンサン・ゴーティエ、ベアトリス・ロマン、他
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大学時代に高田馬場ACTシアターで鑑賞、その後、今はなき池袋ACTセイゲイシアターのオールナイトなどで鑑賞。VHSなどでも観ましたが「緑の光線」が目に見えるかは上映状態にもよるかなと思う。

表層的には主人公、マリー・リヴィエールの恋物語ですが、撮り方はとてもヌーヴェルヴァーグ的・ロメール的。エリック・ロメールの「欲望」が随所に現れ出ていてとてもそそられる。

鑑賞後の「語り」を必要としない映画なので、友達などと観ても盛り上がることはありませんが、鑑賞中にニヤニヤとして堪能してしまいがちな不思議な映画です。

なお、原作は「海底二万マイル」のジュール・ヴェルヌ。

ガタカ

ガタカ [SUPERBIT(TM)]ガタカ [SUPERBIT(TM)]
Gattaca
1997年/アメリカ/106分
監督・脚本:アンドリュー・ニコル
撮影:スワヴォミル・イジャック
音楽:マイケル ナイマン
出演:イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ、他
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数年ぶりに久しぶりの鑑賞。以前観たときから「いい映画だった」ということしか思い出せなかったが、いざ観始めると瞬時に思い出すシーンが多かったが、弟とのやりとりは思いのほかすっかり忘れてしまっていた。

この映画、ツタヤなどでは「SF」の棚にあることが多いですが、画的には地上ばかり映っています。「さほど遠くない未来の話」という意味ではSFなのですが、観ているときに感じるのは「ミステリー」的な緊張感が多いので、「SFミステリー」というちょっと変わったジャンルの映画になるかと思う。

アカデミー美術賞ノミネートのこの作品、美術(小道具)などはとくにスタイリッシュで観ていて気持ちがよい。イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウの身のこなしもとてもクール。「テープ」で競演していたイーサン、ユマ元夫妻を思い出します。あと、ランニングマシーンでのイーサンにはつい笑ってしまいました。

「緊張」があると、ある点で「笑い」に転化するが、それを思うようにコントロールして表現するのんは難しい。シーンのつながりの中で生まれる緊張感もあるし、許容範囲も個人差があるはずだし。でもどこかにそのポイントは確実に有るようにも思う。

この映画の成功を皮切りにニュージーランド出身のアンドリュー・ニコル監督は「ターミナル」(原作・製作総指揮)など数々の話題作の製作に関わることになりますが、脚本の完成度も高い作品。

サスペンス的なエンタテイメントでありながら「生命の倫理とは?」等々観ているものに疑問を投げかける。

こんな映画を観ると、自分の書く拙い出来の脚本が恥ずかしく思ったりもします。

オルランド

オルランド 特別版オルランド 特別版
Orlando
1992年/イギリス・ロシア・イタリア・フランス・オランダ/94分
監督・脚本・音楽:サリー・ポッター
原作:ヴァージニア・ウルフ
撮影:アレクセイ・ロジオーノフ
出演:ティルダ・スウィントン、ビリー・ゼイン、シャルロット・ヴァランドレイ、他
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個人的には馴染みのないヴァージニア・ウルフ原作のイギリス映画。この原作が書かれたのは1920年代ということなので、ちょうどそのころフランスではシュールレアリズムが盛り上がっていた時だろうか。そう考えるとちょっと不思議な感じがします。

監督のサリー・ポッターは脚本・音楽もこなした女流監督ですが、ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチの『耳に残るのは君の歌声』などを思い出すと「ゴージャス」な画が好きなのかなと思います。

今回も特に序盤のコスチュームなどは「大作」っぽい雰囲気を醸し出していました。

特に笑いがとまらない、とか、押し迫る緊張感がある、といった映画ではありませんが、最後まで飽きずに観てしまいました。

2人のダイアローグをカットを切り替えず、パンしているシーンが2つあったのですが、そのテイクはエリック・ロメールの「緑の光線」でのデルフィーヌを交えた庭での団欒のシーンを彷彿とさせ、とても自分好みでした。

あと、ラストシーン。嫌な人は嫌かもしれませんが、僕的にはとても「映画的」な手法で撮影されていて、作品の味わいを深めているように感じられ印象的でした。

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