2004年12月

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阿修羅のごとく

阿修羅のごとく阿修羅のごとく
2003年/日本/135分
監督:森田芳光
原作:向田邦子
脚本:筒井ともみ
撮影:北信康
出演:大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子、小林薫、中村獅童、木村佳乃、桃井かおり、八千草薫、仲代達矢、他
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向田作品はそれほど読んだことはありませんが、安心して観ていられる映画。

家族がテーマなので、この時期居間などでみんなで楽しめるもののようにも思う。フランソワ・ オゾン監督の「8人の女たち」もそうでしたが、有名女優が一つのフレームにたくさん入っていると画に迫力がる。現場の監督は主役級の女優ばかりがいると気遣いが大変だとも思いますが。笑

家族を扱った作品での「面白さ」ならば森田監督の「家族ゲーム」が衝撃的でした。

「変わった映画」ならば黒沢清監督の「ニンゲン合格」が印象的。「山田洋次もの」に、いまいちぐっとこない私は、つい変な、というかわかりにくい家族ものを好んでしまいます。

アイデン&ティティ

アイデン & ティティアイデン & ティティ
2003年/日本/118分
監督:田口トモロヲ
原作:みうらじゅん
脚本:宮藤官九郎
音楽:大友良英 ・遠藤賢司
出演:峯田和伸、麻生久美子、中村獅童、大森南朋、マギー、コタニキンヤ、岸部四郎、他
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あの田口トモロヲが監督!原作は三浦じゅん!というところにガッシリくいついて映画館で鑑賞。封切りになってしばらくたっていたが、それなりに混んでいた。シネセゾン渋谷で上映しているのを観たけれど、内容とお客さんは「中央線」な感じがして、ちょっと好印象。

ストーリー的には自分の身の回りのバンドマンのことなどを思い浮かべたりできて、それほど遠い内容の話ではようにも感じた。撮り方はオーソドックスな印象。俳優として数え切れない程多くの現場を経験している田口トモロヲ監督ならでは、ということかもしれない。

青春の切なさが心にしみる1本。

H story

H storyH STORY
2001年/日本/111分
監督・編集:諏訪敦彦
プロデューサー:仙頭武則
撮影・出演:キャロリーヌ・シャンプチエ
音楽:鈴木治行
出演:ベアトリス・ダル、町田康、馬野裕朗、他
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「H story」は「Mother」や「デュオ」を撮った広島出身の諏訪敦彦監督の作品。

今回の作品は、フランスの監督で「去年マリエンバートで」や「夜と霧」などを撮ったアラン・レネの「二十四時間の情事/ヒロシマモナムール」をリメイクしようとする、ということ自体が内容のドキュメント的な映画。

役者にはジャン・ジャック・ベネックスの「ベティー・ブルー」に出演していたベアトリス・ダル、や、町田康、などが出演。

かなり変わった作品でしたが、現場のやりとりなど、どこまでほんとかわからないところにニヤニヤしながら観てしまった。

それこそ視点(カンヌの「ある視点」か何かの部門受賞していたはず)、主題?、がかなり変わっているのでいわゆる他の映画と比べられないのが歯がゆい感じではあるのだが、ベアトリスには思った以上に引き込まれてしまった。

それほど好きな女優ではなかったはずなんだけど、ああいう人が目の前にいたら嫌なんだけど、町田康と絡んでいたからか、初めて観たときよりかなり歳をとっていたからか、アンニュイだったからか、勝手にすごく親近感を感じてしまった。

ベッドシーン、というか話し相手がとても近くにいる状態でのセリフ?のやりとりが多く、そのためかアップも多く、近くにいる感じがしたのだろうか。自分ももちろんそうなのでけれど、人は歳をとる、ことを再認識。

やっぱり彼女は「ベティー・ブルー」の破天荒な印象がとても強いので予想できない行動をとりそうでそわそわしてついじっくり追ってしまった。

それにしても、映像作品で何をどのように観せるのか、という問題意識の珍しい作品でした。笑うところないし、ストーリーも破綻してるし、役者の数少ないし、暗いし、それほど真面目でもないし、ここまでネガティブなキャッチがポンポンでてくる映画はとても少なく、とても人に勧められないのが残念なのですが、僕が撮る人だからだと思いますが、自分がその場にいるように感じる数少ない映画で、彼の映画はそういう作品が多いです。

それにしても、問題意識の珍しい作品だ。自分もあやかりたいものです。

ロスト・イン・トランスレーション

ロスト・イン・トランスレーションロスト・イン・トランスレーション
Lost In Translation
2003年/アメリカ・日本/102分
監督・製作・脚本:ソフィア・コッポラ
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
撮影:ランス・アコード
出演:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、他
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ようやく「ロスト・イン・トランスレーション」を観ました。どうなんでしょうね。この映画は。

ソフィア・コッポラものは初めてなのですが、後味としては、煮え切らない、感が大きいですな。「ロスト」してしまっているから仕方のないこのなのかもしれませんが。

プロットをふまえると、画の積み上げ方がCMっぽく感じられたのは僕だけだろうか?
日本を題材にした海外の映画、というと、ヴェンダースの『東京画』を思い出します。
音楽に頼りすぎているからCMっぽいようにも思うのだけれど、僕の好きな曲が数曲使われていて、ちょっといい気分になってしまいました。

インディペンデントな臭いは好きなのですが、邦画で言うと、リアルっぽいファンタジー、というとこでは岩井俊二の映画などを思い出しました。

あと、ヨハンソンのエロのない肌の露出には、男心をくすぐられてしまいました、
そこらへんはソフィアのなせる技なのか。

ソフィアのお兄さんの『CQ』もそう思ったのですが、小規模なわりにはカチッとしている、というか、はみだしていない、というか、ちゃんとしている感があるのは、コッポラ一族特有のものなのか。

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